不動産売却による耐用年数とは。戸建てとマンションの違い
不動産売却における「耐用年数」とは?戸建てとマンションの違いも解説
不動産の売却を検討される際、「この建物はもう古いから価値がないのでは」とご不安に思われたことはありませんか? 特にご高齢の方や、相続で不動産を引き継いだ方からは「耐用年数を過ぎていたら売れないのでは?」というご相談をよくいただきます。
そこで今回は、「耐用年数とは何か」「戸建てとマンションでどう違うのか」「売却にどのように影響するのか」について、専門的な視点からわかりやすく解説いたします。
耐用年数とは?
まず「耐用年数」とは、税法上で定められた「その建物が資産として利用できる年数」のことを指します。これは、あくまで減価償却(建物の価値が時間とともに減ると見なす税務上の処理)に用いる数字であり、「その年数を過ぎたら壊れる」あるいは「使えない」という意味ではありません。
たとえば、法定耐用年数は以下の通りです。
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木造住宅(戸建てなど):22年
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軽量鉄骨造住宅:27年または34年(骨格の厚みにより異なる)
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鉄筋コンクリート造(RC造)マンションなど:47年
このように、マンションの方が戸建てよりも耐用年数は長く設定されています。
実際の建物の寿命とは異なる
注意が必要なのは、耐用年数=建物の寿命ではないということです。実際には、適切にメンテナンスされていれば、木造住宅でも50年以上住まわれている方もいらっしゃいますし、鉄筋コンクリートのマンションであれば70年、100年と現役の物件も珍しくありません。
このため、たとえ法定の耐用年数を過ぎていたとしても、実際の建物の価値や利用価値は維持されていることがあります。
売却時に耐用年数がどう影響するか
耐用年数が売却にどう影響するのかを具体的に見てみましょう。
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査定額に影響する可能性
不動産会社が物件の価格を査定する際、建物が法定耐用年数を超えていると「建物の価値はゼロ」と見なされる場合があります。その場合、建物部分の価格がつかず、土地の価格のみで評価されるケースもあります。特に木造戸建ては、築20年を超えるとこのような傾向が強まります。 -
住宅ローンが通りにくくなることも
購入希望者が住宅ローンを利用する場合、建物の残存耐用年数が短いと、ローンの審査が厳しくなることがあります。ローン期間が建物の残りの耐用年数を超えないようにするという金融機関の方針があるからです。 -
買い手の心理的な影響
一般の買主にとって「築年数が古い」と感じるだけで、購入を躊躇される方もいらっしゃいます。逆に、しっかりとリフォーム・修繕されていれば、築年数を超えていても評価されることもあります。
戸建てとマンションの違い
耐用年数の違いが、売却時にも大きく影響してきます。
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**戸建て(木造)**の場合は、築20年以上になると建物評価がほぼゼロと見なされ、土地の価値が中心となります。買主も「古家付き土地」として検討することが多く、将来的に建て替えを前提とした購入になります。
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**マンション(RC造)**の場合は、築30年、40年を超えても修繕積立金や管理状態が良ければ、建物自体にも評価が残ります。また、共用部分(エレベーター、外壁、廊下など)の管理がしっかりしていれば、築年数が古くても資産価値が安定しやすいのが特徴です。
売却をお考えなら早めのご相談を
もしご自宅やご実家を売却されるご予定がある場合は、築年数だけにとらわれず、まずは専門家に相談されることをおすすめします。耐用年数が過ぎていても、土地の価値、立地、建物のメンテナンス状況によって評価は大きく異なります。
また、高齢の方が売却される場合、ご自身で売却活動をされるのが難しいケースもあります。そのようなときは、地域に根ざした不動産会社に一度お話をしてみてください。相続や税務面を含めて、将来のご不安を軽くするお手伝いができるかもしれません。
まとめ
「耐用年数」はあくまで税務上の基準であり、建物の価値や寿命とは直結しません。特に戸建てとマンションでは耐用年数も異なり、売却時の扱いも変わってきます。築年数が古いからといって諦める前に、まずは一度、正しい査定とアドバイスを受けることが重要です。
不動産は一つとして同じものはありません。売却をお考えの際は、状況に合った最善の方法を一緒に探してまいりましょう。
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