仲介手数料0円（無料）の罠 | 入間市の不動産売却は【入間市・狭山市不動産売却エージェント】へ

「仲介手数料0円」「完全無料で不動産が買える」──そんな魅力的な広告を目にしたことがある方も多いでしょう。不動産購入時には通常、物件価格の3％＋6万円（税別）が仲介会社に支払われます。たとえば4,000万円の物件なら約138万円にもなる大きな費用。それが“無料になる”というのですから、つい飛びつきたくなるのは当然です。しかし、この“仲介手数料0円”には注意すべき落とし穴があります。今回はその仕組みとリスクを、不動産の現場目線で紐解いていきます。

■ なぜ仲介手数料が無料にできるのか？

まず誤解してはいけないのは、仲介会社が「慈善事業をしているわけではない」ということです。仲介手数料0円には理由があります。
多くの場合、0円をうたう会社は「売主側からの手数料（両手取引）」を狙っています。本来、不動産売買では買主・売主双方から手数料を受け取れる可能性があり、これを“両手”と呼びます。買主側を無料にする代わりに、売主側から満額の手数料を受け取ることで収益を確保しているのです。

しかしこの場合、仲介会社にとって“どちらを優先するか”が問題になります。利益構造上、どうしても売主側の都合が優先されやすくなり、本来買主が受けるべきサポートが不十分になるケースもあるのです。

■ 物件提案の幅が狭くなるリスク

仲介手数料0円の会社は、売主側から手数料を受け取れる物件しか紹介したがりません。
つまり、買主のために市場全体から最適な物件を探すのではなく、「手数料が取れる物件」だけを提案するバイアスが生まれやすいのです。

たとえ買主にとって条件が良い物件が他にあっても、売主が手数料を支払わない会社の物件であれば紹介されないことがあります。結果として、買主は“選択肢が狭まった状態”で意思決定をさせられるリスクがあります。

■ 交渉力・サポート力の低下

仲介手数料は単なる「取り分」ではなく、専門家としての責任と労務に対する対価です。
0円の場合、会社側が十分な時間と人員を投下しづらく、次のような影響が出ることもあります。

価格交渉が積極的に行われない
重要事項のチェックが甘くなる
物件の調査やリスク説明が浅くなる
契約後のフォローが弱い

一見すると“無料で得した”ように見えても、結果として数十万～数百万円の損失につながる可能性もあります。不動産取引は小さなミスが大きなトラブルになりやすいため、サポートの質は非常に重要です。

■ 0円の裏に潜む「別名目の費用」

仲介手数料は0円でも、実質的に同じ意味の費用を別名目で請求されるケースもあります。たとえば、

事務手数料
コンサルティング費
契約書作成料
物件調査費

これらが数万円～数十万円かかり、結局“別の形で費用を取られていた”という事例も少なくありません。
特に“成功報酬”や“特別サービス料”といった不透明な名目は要注意です。

■ では仲介手数料0円がすべて悪いのか？

必ずしもそうではありません。
しっかりとした会社が明確な仕組みと誠実な対応をしているケースもあります。重要なのは 「なぜ0円なのか」「そのことで何が制約されるのか」 を理解したうえで判断することです。

買主側に寄り添う姿勢がある会社なのか、物件選定や交渉にバイアスがないか、説明責任を果たしているか──これらを見極めることが、後悔しない不動産購入につながります。

■ 最後に

不動産は人生の中でも最大級の買い物です。「無料」という言葉は強い魅力を持ちますが、仲介手数料0円の裏には一定の仕組みとリスクが存在します。大切なのは、広告のインパクトに流されず、本質を理解したうえで判断すること。
誠実に買主の立場で動いてくれるパートナーを選ぶことこそが、安心で満足度の高い取引への近道です。